Never lasting lie
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「朧月夜」
Angel Beats! / 60億分の1の恋、イチャラブ [ 9489 byte ]
アニメ10話相当のネタバレを含みます。



ドビュッシーにはいつも感心させられます。
亜麻色の髪の乙女は無論のことですが、ベルガマスク組曲がまた美しい響きでたまりません。
ベルガマスク組曲と言えば誰しも「月の光」を想像しがちですが
そこには「プレリュード」「メヌエット」「パスピエ」という、素晴らしい曲たちがあることを忘れてはなりません。
いや、「月の光」はその3曲があってこその「月の光」なのです。
ベルガマスクに包まれた、浮遊感溢れる独特なメロディに魅せられ、自らもまた仮面舞踏会の片隅に佇んでいるかのような錯覚を覚えます。
そして、ドビュッシーの不朽の名作として忘れてはならないのは、自分はだと思います。
特異なリズムが、優しく不明瞭な旋律が、心地のよい響きが、聞き手を微睡みの向こうへと誘ってくれることでしょう。
ドビュッシー自身はこの曲を酷評したようですが、ドビュッシーを語る上で必要不可欠な曲だと自分は思います。
そりゃあもう、名曲過ぎてエロゲにだって使いたくなりますよ。
わかります、その気持ち。





ですが、いつまでも快楽に溺れ続けるわけにもいかないのです。
人間は立ち向かわなければなりません。
例えばそれは敵だったり、悪だったり、義だったりします。
時にそれは、途轍もなく強大な力を以て、人の前に立ちはだかるでしょう。
強大なものの前に、小さきひとは、折れそうになるかもしれません。







しかし。





言い訳はしません。
言い訳はしませんし、SSに関する説明もしません。
ただ、まだ純粋に物語を楽しもうとする穏やかな心がある方のみ、読んで頂けると幸いです。



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※注意
この作品にはアニメ「Angel Beats!」に関するネタバレが含まれています。
アニメを見ていない方が誤って閲覧してしまった場合でも
当方は一切の責任を追わないものとしますので
閲覧に関しては十分に気をつけて下さい。

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「じゃ、ちょっと出掛けてくるから火元と戸締まりよろしくね」
そういって由里と康雄が家を出てから、既に30分が経過した。
だが、両親が揃って外出することなど全く珍しくない日向家にとって、それは日常的な光景と
いって差し支えのないものであり、同時に長男の秀樹も、諦念に似たある種の情感を持ってい
た。
この親たちは、もうそろそろ40代になるくせに、異様なまでに夫婦間の仲がよい。端的にいえ
ば、未だに「バカップル」の段階で時が止まってしまっている感覚だ。
詰まるところ、「歯止め」というものを字面だけは受け取りつつも感覚的には知らない学生の
ような――つまり、二人の間の色情が際限なく甘々で、子供の前でも平気で口と口を交わし合
う程の――仲睦まじさを体現し、そして度が過ぎて、子供たちに悪影響を与えかねない程の親
だった。
実際、日向家の長女である優依は、この親たちのコミュニケーションを「普通」と捉えている
節があり、もう高校生になるくせに異様なまでに兄に甘えてくるのだった。
そしてその兄秀樹は、この惨状にすっかり辟易していた。
「お前さぁ、料理抜群に駄目なくせに、なんでこんなモン作ろうとしたわけ?」
彼が参っていたのは、妹のコミュニケーション方法ではなく、台所の荒れ具合だったが。



「だって今日お父さんもお母さんもいないんだよ? あたしとお兄ちゃん、二人っきりなんだ
 よ?」
「確かに二人っきりだな。でも、だからって台所で化学実験していい訳じゃないけどな。台所
 は劇薬実験室じゃないからな」
秀樹はあくまで冷静だった。
トマトの欠片と思わしき物体が飛散し、殺人現場か何かの風体をすっかり顕現させてしまった
台所を横目に、少し屈んで目線を合わせながら優依を諭す。
「むー」
「お前のほっぺじゃなくて、生地の方が膨らんだらよかったのにな」
オーブンに入っているのは、スポンジケーキのスポンジだろう。すっかり原形を留めていない
遺骸に、哀愁と悲壮感とその他異様な混沌を感じ取る秀樹だった。
「ってことは、この飛び散ってるのはトマトじゃなくてイチゴか! なるほど、確かによく見
 たらトマトっぽくねぇな!」
てきぱきと片付けの準備を始める秀樹を、優依はただじっと見つめることしかできなかった。
その瞳には、小さく光る雫。
秀樹は雑巾を絞ったところで、ようやく無言の妹に違和感を感じた。
「おい、お前も――」
「…………」
「…………」
「……泣いてないもん」
「誰も泣いてるなんて言ってねーだろ」
振り返った秀樹は、落涙を堪える妹の顔を見て、ほんの少し首を竦めた。
「ほれ、ハンカチ」
「いらない」
やれやれ。いつの間にこんな子に育っちまったんだ。
ちょっと涙目になりながらも首を横に振る優依に兄貴面を向けて、秀樹は笑った。
笑って、その瞳に顔を近づける。
「なんでケーキなんて作ろうとしたんだ? お前、どーせレシピとか知らなかったんだろ?」
秀樹は、指でその雫を拭ってやり。
優依は、近すぎる兄の顔に赤面した。
普段ならこの程度の距離に動揺することなどなく、どちらかといえば逆に顔を近づけて困らせ
る側の優依だが、今は全く逆だった。
まともに兄の顔を見られない。
「……――」
「は?」
目を逸らしてか細い声で呟いたその言葉は、当然秀樹に届くはずもない。
「……今日はお祝いなの!」
顔を真っ赤にして、優依は怒鳴った。
「……お祝い?」
はて、と秀樹は考え込む。
今日は優依の誕生日でもなければ、自分の誕生日でもない。何らかの記念日でもない。
「何だよお祝いって」
「…………」
またも優依は口を閉ざした。
だが、閉ざされた口がもごもご動いていることに、秀樹は気付く。
「……?」
「…………と」
「と?」
「……も、もういい! あたし寝る!」
顔を真っ赤にして、優依は台所から背を向けた。
状況を完全に理解してはいなかったが、何か不味い予感がして秀樹は優依を呼び止めた。
「お……おい!」
「……なによ」
しかし呼び止めたはいいものの、秀樹は特に用事があるわけでもない。
数秒考えた後、妙案が思いついた。
「お前、その格好で寝るつもりか?」
「…………」
「よく見てみろよ。体中イチゴだらけだぜ。そんな格好で寝て起きたら、朝になったら全身イ
 チゴ臭くなるぜ」
「…………」
優依は服を少したくし上げて、秀樹に臍を見せつけるようにその臭いを嗅いだ。
そうして数秒すんすんと鼻を動かし、ぱっと顔を遠ざけたと思ったら、その勢いのまま顔を歪
める優依。
イチゴ臭という秀樹自身もよくわからないデタラメは、形はどうあれ功を奏したようだ。
「着替えるだけじゃ体の方のイチゴ臭は落ちないな! よし、丁度よく沸いてるみたいだし、
 風呂入れ風呂」
優依は大の風呂好きだ。風呂にさえ入れておけば、大抵の不機嫌は解消する。
「……わかった」
小さくガッツポーズ。
「お兄ちゃんも一緒に入るなら、ね」
秀樹は失念していた。
この妹、基本的に何かがおかしい。





風呂に入る前にも、また一悶着あった。
秀樹は優依に水着の着用を強要したが、優依は一切認めようとしなかった。
「やだよ! 水着なんて着たらお風呂じゃないじゃん!」
「いいからお前は水着だ」
「やぁだぁ!」
「ほれ、さっさと着る!」
「…………」
「……何だよ」
「……もしかして、お兄ちゃんってそういう趣味?」
「……違ぇよ!」
「……わかった。優依、スクール水着持って――」
「ま、待て! もういい。タオル巻け」
「えぇー!? タオルなんて水に浸すと変な感触するじゃん」
「いいからお前はタオルだ」
「やぁだぁ!」
「じゃあ一緒に入ってやらんぞ」
「そんなにイチゴ臭いのに?」
「…………」
意外と優依は頭が回る。
気付いたら、秀樹の服も真っ赤に染まっていた。

しかもその優依自身は「ちょっと準備するから」とか言って、風呂には後から入るらしい。
秀樹はゆっくりと湯船に浸かりながら、今日の優依の奇行について思いを巡らせていた。
「そういやあいつ、今日は一日中おかしかったな」
普段なら挨拶代わりにプロレス技を決めるようなお転婆娘なのに、今日は借りてきた猫のよう
に大人しかった。というかしおらしかった。
「……熱でもあんのか?」
今更のように思い出す。今日一日、ふと優依の顔を見れば、その顔が常に赤かったこと。
秀樹は急に心配になった。

その時、風呂場の扉が開く。
一糸纏わぬ姿で、優依が入ってきたのだ。
いつもの秀樹なら顔を赤らめながら優依の身体をからかったり馬鹿にしたりするのだが、今日
はそうではなかった。
「お兄ちゃん、お湯加減は――」
秀樹は優依が浴室に入ってくることを確認すると、すぐさま熱を測ろうと飛び出した。
そのまま秀樹の顔が、優依に近づいていく。
ゆっくりと、しかし確実に。
その距離を縮めてゆく。
突然の不意打ちに、優依は反応できなかった。
瞬間沸騰した真っ赤な顔と、目一杯広がった目は、その限りではなかったが。
そして、急速に動悸が激しくなっていく。
でも秀樹の顔は、どんどん近づいてくる。
とうとうその距離がゼロに――


こつ。
「うーん。俺も温まっちまったからわかんねぇな……」
接触したのは、あろうことか額だった。
「ンな訳あるかあああああい!!」
「ぐあっ!?」
その時繰り出されたジャーマンスープレックスは、この世で一番美しかった。





それから秀樹が目を覚ましたのは、実に30分後のことだった。
「お前、風呂場のタイルの上でこんな危ねぇことすんじゃねぇよ!!」
「危ねぇのはどっちだゴルァアア!!」
「お前だよ! 一片の疑いもなく危ねぇのはお前だよ!」
組んず解れつの闘争とは、まさにこのことだろう。
浴槽の中の戦争は、溜めたお湯が無くなってもまだ続いた。

「……で?」
いろいろとあって更に2時間程経過し、時刻はもう深夜と言って差し支えない時間だ。
「で?」
「何だよお前、準備するとか言って結局何準備したんだ?」
背中を擦られながら、秀樹は問う。
「べ、別に何でもいいでしょ!」
優依はまたも顔を赤らめていたが、秀樹は無論気付かない。
「へーへー」
それからしばらくの間背中を流したり流されたりしながら、ただ平凡な時間を過ごしていた。

「ふーぅ」
湯船に浸かり、一息つく秀樹。
風呂に入ってるのに、疲れが取れないとはこれいかに。
「ふーぅ」
こちらも湯船に浸かり、一息つく優依。
折角二人で入った風呂も、いろいろあって無駄な時間ばかり使ってしまった。
そんな二人の思惑をお互いに隠しながら、同じ浴槽の中のひとときを満喫していた。
「ねぇ、そっち行っていい?」
それまで向かい合わせに座っていた体勢だったのを、急に変えたいと言い出したのは優依。
秀樹も目のやり場に困っていたので、その提案には快く頷いた。

しかし秀樹は、その己の考えをすぐに後悔した。
そう。この姿勢はいろんな意味で危ない。
秀樹の上に優依が座っているので、身体全体が密着するのだ。
どうしたものか。
秀樹はこれまでにないほど頭を回転させて、自らの失態を払拭すべく思案した。
「ねぇ」
「…………」
「ねぇってば」
「………………」
「……ねぇっつってんだろコラァアアア!」
「うおっ!?」
気付いたら、目の前に優依の顔があった。
吐息が掛かる距離。
少し顔が動けばキスできそうな間合いで、二人は真っ赤な顔で見つめ合った。
――その顔は、怒りで赤く染まっていたが。
「人の話聞けやゴルァアアア!」
「お前さっきから何なんだよ! 人が話聞こうとしたら言わなかったくせによ!」
「あたしにもいろいろあるんじゃコラァアアア!」
「だったら俺にもいろいろあるわ!」
「そんな女々しい言い訳すんな!」
「誰が女々しいんだよ誰が! お前の嫋やかさが足りねぇだけだろ!」
「嫋やかさ!? ハッ! そんのなくったって、あたしの色気――」
「…………」
「…………」
もやもやと湯気の立ち上る浴槽。
一糸纏わぬ姿で取っ組み合っていた二人は、真っ赤になって白けてしまった。


静まりかえって密着した肌は、仄かな熱を帯びていた。
秀樹はいたたまれなくなって視線を明後日の方向に向けるが、どうしても優依の艶やかなうな
じに目を引かれてしまう。
一方優依も秀樹と同様、静けさと温もりに気恥ずかしさを感じていた。
照れ隠しで湯に顔を埋め、ぶくぶくと泡を立てることしかできない。
そんな優依を見て、また秀樹は顔を逸らすし、優依は秀樹に包み込まれて、なすがままになっ
ていた。
のぼせそうな兄妹は今、小さくて大きな幸せに浸っていた。
「……あの、ね?」
「……なんだよ」
その静寂を破ったのは、優依だった。
「……ホントは、さ……お祝い、したかったんだよね」
お祝い。
キッチンでも聞いたその言葉に、秀樹はさっきとは違う「重み」を感じた。
ただ、それが何なのかは未だによくわからない。
秀樹は心の中で溜息をついて、優依の顔を覗き込んだ。
「ああ。風呂出たらお祝いしような」
「うん……約束だよ?」
「勿論」
嬉しそうに小指を差し出す優依の顔は、今まで見たことないほど美しく、綺麗に輝いていた。









お祝い。


その言葉の意味を、秀樹は考えなかった。









     *     *     *









優依より先に風呂から上がった秀樹は、台所で唸っていた。
「さぁて、こいつをどーすっかねぇ」
独りごちて、真っ黒に汚れた雑巾を絞る。
気合いと共に雑巾を振り上げたところで、この上げた右腕をどうするべきか、秀樹は真顔で考
え始めた。

秀樹の視界は、ふとカレンダーを捉え。
映った数字が示すのは、とうの昔に過ぎ去りし月。
イチゴに消された日にちを見つめ、秀樹はその一枚を破り捨てた。






















ひなユイ・・・!

遂に、遂に書いてやった・・・!


的なノリでした。

嘘です。

誰かやんねーのかよ」ってずっと思ってました。

誰かやれよ。

うん。

因みに意外と筆者得です。

だって好き放題じゃん。

好き放題って大事だよね。

つまりそんな話。

ホントは最後えろちっくになる予定でしたが、不謹慎だったので止めました。


あれ? 今日って何日?
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