Never lasting lie
独りよがりな日記とKey系創作小説メインでゆっくりしたいあなたへ
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「THE LIVING DEAD」
リトルバスターズ! / シリアス、ダーク、鬱
オールクリアのネタバレを含みます。



とある人の一言をきっかけに書き始めた、とある人曰く「冬コミ用のSS」らしいです。
ついでにいうと、とある人が挿絵を載せることで冬コミに出せるんじゃね? なSSらしいです。
このSSに挿絵を描くなんて、素人にはオススメできませんね。
というかこんなSS出しても、イベントに参加する方々をはじめ
いろんな人に失礼な気がするので、というか応募さえしてないので出せませんが
まあとにかく筆者お得意のアレです。
理樹君がすれちゃってます。
特に救いは作ってませんが・・・(以降ネタバレ

とにかく、リフレインにてあったかもしれないifストーリー。
理樹君が手にしたかったのは、果たして――


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※注意
この作品にはゲーム「リトルバスターズ!」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをオールクリアしていない方が誤って閲覧してしまった場合でも
当方は一切の責任を追わないものとしますので
閲覧に関しては十分に気をつけて下さい。

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慣れ親しんだグラウンドの土のにおい。
風に運ばれやってくる川の水のにおい。
眩く照りつける太陽の光。
青く澄んだ晴れ渡る空。
一見すると全てが満ち足りた、完璧な世界。
そこにみんながいればよかったのに。





僕は自分と誰かの居場所を求め、学校をくまなく歩いた。
それは妙なまでに生々しくて、僕は軽く身震いした。
そしてそれは終わらない悪夢の始まりにすぎない。
僕はまだ純粋無垢なままで、何も知らないでいる。
そう思っていた。

窓を外す作業は、もうずっと前に慣れた。鍵を拝借するなどという無粋な真似はしない。
窓枠に足をかける。外に出る一連の動作はやっぱりスムーズで、それが僕には悲しかった。
「コンクリートの窮屈な箱」から出ても、変わらずこの世界は窮屈だった。
どこまでも続いていそうな空がすぐそこにあって、でも触れても感触があるはずがなく、僕は
人知れず恐怖する。
やっぱり空に触れる感触は幻想でしかなく、そんな僕なんかがいくら手を伸ばしたところで、
僕の右手が空を掴む事はない。人間の手が空に届くはずはないのだ。
僕は何にも届かなかった手を下ろす。右手を見つめていると、視線の先に見えるもの。
それさえも、そして更には何もかもが幻のように思えてきて、僕は焦った。
だからそれを求めて足を上げ、手を翳す。
わからないことは何より恐怖。右手には確かな手触り、心には揺るがない確信。
無数の時を経て幻想を全て打ち砕き、ようやく僕はそれに気付く。
あの時飛散したポテトチップスの欠片は、どこを探しても見当たらなかった。
風はない。
空は依然、停滞している。

ガラガラ……と懐かしい音がする。この扉を開けるのは実に1日ぶりだった。
当然そこにあるはずの笑顔はない。都合のいい僕の目にさえ、何も映りはしなかった。
クラスメイト達の温もりを求めて席についてみる。僕の目は真っ直ぐ黒板を捉えていたが、そ
の暗い緑色はどこまでもくすんでいて覇気がなかった。
それならばとグラウンドを見下ろす。そこに見えるのは間違えようもない、馴染みのあるグラ
ウンド。誰ひとりとして人がいなくても、その広大さが目に沁みても、それは僕達が駆け抜け
た青春を内包してくれていた、そのグラウンドそのもののように見えた。
もう一度目を正面に戻す。そこにあったはずの騒がしさは、何か大切なものと一緒に霧散し、
探し出すことを不可能にさせた。
机の中に入れておいた辞書はなく、においの代わりに底がない暗闇と静寂が勝手に僕の空間に
居座っていた。
その冷たさと寂しさに打ち震える感傷さえ、僕には許されてはいない。
だから僕は直視することを止めた。板書の字はよく見えないが、それより大切なものが見える
と信じていた。だから更に大切なものを見失うと終ぞ気付かなかった。
もう危険は冒さない。必要でないものは視界にさえ入れない。
傷が増えても舐めて癒してくれる人がいないなら、その傷はただの死因にしかなりえない。
僕はそんなことを、今更ながら知った。
世界は未だ、色付く景色を見せないでいる。
僕の目は他の人よりほんの少しだけ、都合がいい。

扉を開ければ漂ってくるにおい。少し古ぼけたような、それでいてゆったり和むような独特の
雰囲気はそこになく、ただただ時が止まったかのような幻想を僕に抱かせる。
部屋に入っても心は平常を保てず、それは優しく撫でられただけでも容易く壊死しそうで、僕
は居たたまれなくなって部屋を見渡す。
隅に積み上げられていたクッションは、その存在を誇示する機会さえなく崩落し、以前あった
はずの柔和さは既に見る影もない。
幾分か前から生けてある花は、いつまでも放置されていたにもかかわらず、場違いなほどその
美しさを辺りに振りまき、見るものを魅了する力強い笑顔を僕に向け続けていた。でもそれは
生命力を微塵も感じさせず、あるのはやはり乱暴に切って貼り付けただけのような、作り物の
美しさに他ならない。
これほどまで変わってしまった僕のひとつの居場所。
そこにあった温かみはことごとく消失し、作り物の存在感に取って代わられていた。
そしてそれは明確な悪意を持って、僕にこう囁く。
『――』
でもそれは実現できない命令。世界が僕を拒んでも、僕はどこへも行けはしない。何故ならそ
れは、絶対である世界の命令。僕が世界を拒んだら、僕はどこにも存在できない。
だから僕はこうして巡る。
そこに絶望はまだなく、そこに希望はもうない。
捨て置かれたのは果たして世界の方か。それとも僕の方か。
正しい解が存在するのかさえ、僕に知る術はない。

朽ちかけた木製の椅子に腰掛ける。風化が進みアンティークとしての価値も失われかけている
それは、キィッと一啼きしてなんとか僕を受け止めた。
ある人にとって心の安らぐ場所、そしてある人にとって格好の逃げ場であったそこに、かつて
あったはずの包容力のようなものはなく、今まで以上に隙がない場所へと変貌していた。
木目に沿ってテーブルを撫でる腕は目的があるくせに所在無さ気に彷徨い、まるで突然出口の
ない迷路に投げ出されたかのようにふらふらと、覚束ない足取りでそのステージを蠢く。その
手を動かしているのは、果たして僕の意志であると断言できるのだろうか。
視線を動かすと、捨てられ転がっている空き缶が目に入った。
そこから漂うは味噌カツのキツめの香りでもなく、捨てられた哀愁でもない。
ただ、ある。それだけだ。そんな当たり前の事実に、僕は落胆を隠しきれない。
そこに何があったら僕は満足できたのだろうか。
そこに僕は何を探していたのだろうか。
こんなことを自問する僕に探されるものに価値などあるのだろうか。
わからないからそれを探し、わからないから探すのをやめる。
僕は自分を騙し続けることによって生き永らえているのかもしれない。

ここへ来て風が凪ぐ。通り魔的に中庭を一閃したそれは、まるで鋭利な刃物の如き冷たさで僕
の頬を掠り、存在しない切り傷を僕と世界に刻み付けた。
季節は初夏。しかし日陰だけは太陽の恩恵と無縁であり、吹きつく風と相まって少し肌寒く感
じられた。
そこに咲く一輪の花。それは家庭科部部室で見た、なんの感動も与えない生け花を思い起こさ
せた。ここでこうして枯れることもなく、一生死に続けていく運命しか、彼女には与えられて
いない。
だから僕は花弁を千切ってやった。散り行く儚さと最期の美しさは、僕が想像で付け足した。
それは最早「情け」ではなく、ただの自己満足にすぎなかった。
「生きる屍」とはよく言ったものだ。それはこの世界で止まっているもののみならず、動いて
いるものを含めた全てが、本当の意味で「生きる屍」であるに違いない。
芝生の上に寝転がって空を見上げる。屋上で見たものよりずっと大きく近いくせに、ずっと小
さく遠くなる。僕の視界を曇らせる要因は、決してこの大きな木だけではないのだろう。
これを人は「喪失感」と呼ぶらしい。ずっと昔に忘れたはずの感情が今、また頭を擡げようと
しているようだ。
仄暗い闇に突き落とされる感触。抵抗しようと腕を伸ばしても、触れるのは生暖かい闇と絶望
だけ。足掻けば足掻くほど身体は渦に嵌り、脱出を困難にさせる。
だから僕は抵抗する心を持つことをやめた。
気がつけば途端に晴れる視界に僕は一瞬安堵する。しかしそこにあるのは依然として偽者の虚
像だけである。僕が感じているのはフィクションのリアル。どこまで質感が繊細であれ、それ
はただの模造品にすぎない。
僕が駆け抜けたかった青春はこんなものだったのだろうか。どれだけ自問したところで、僕に
は流れるはずの涙さえない。これが喜ぶべきことなのか悲しむべきことなのか判然としないの
は、僕にとって喜ぶべきことだった。
そしてそれはどこまでもゆっくりと、機械よりも正確な足取りで僕に歩み寄り、僕の最も大事
な部分を蝕んでゆく。それは僕のような人間に止められるものではなく、いつか僕はその大き
な勢力に飲まれて、跡形もなく消え去ってしまうのだろう。
最善も最悪も徒労でしかないこの世界で、僕はひたすら自らの終わりを求め、待ち続ける。
僕は落胆する心を捨てた。
生きる理由は残っていた。

その瞬間、世界が廻った。
もう何度も味わったこの堕ちる手触りに、僕はまた失望する。
目が覚めたら元に戻っていますように。
そうやって僕は女々しく祈った。
その内に意識を放られ、またひとりぼっちになった。





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【another side】

某日。
とある地方新聞の一面に、大きなゴシップ体でこんな見出しがつけられた記事が掲載された。
「高校の旅行バス転落 44名奇跡の生還」
その記事を紐解くと、こう記してあるのが読み取れる。
昨日未明、○○高校から修学旅行に向かった××会社のバスのうち1台が、突然原因不明の操
作不能状態に陥り、走行していた△△地区の崖から転落。その衝撃でバスの一部が発火し、数
分後に漏れ出していたガソリンに引火、近隣の林を巻き込んだ大規模な爆発を引き起こす大惨
事となった。が、乗車していた生徒41名と教師1名、乗務員2名は爆発前に射程圏外の安全な場
所まで移動されており、その44名はいずれも骨折などの重軽傷を負っていたが、幸い命に別状
はなく付近の病院に搬送された。
これだけ見ると、最近の暗い社会の中では比較的明るいというだけのニュースで片付けられて
しまうかもしれないが、不幸なことにこの記事には悲惨な続きがある。
奇跡的な44名の無事が確認された後、事故の現場検証が行われたのだが、爆発ポイントにて焼
死体が発見された。○○高校によると、当日修学旅行に参加したはずの男子生徒1名が病院に
搬送されておらず、行方不明の状態になっているとのこと。警察はこの焼死体がその生徒であ
ると見て、原因不明である事故原因の究明を含め、詳しい調査に乗り出す方針。
ここでひとつ引っ掛かるのが、何故44名の乗客乗員は無事に避難できたのに、この死亡した人
(以降便宜的にこの焼死体の人物のことを「彼」と解釈して置き換えるが、実際に先ほどの男
子生徒かどうかは明らかでないので注意してもらいたい)は避難できなかったのかというとこ
ろだ。そのことについてこの新聞社の社説では、次のような興味深い仮説を打ち立てた。

――彼が生還した44名を救出したのではないか?

無論それは新聞社が勝手に書いただけの社説である。そう考えるよりは、彼が抱えていた持病
のナルコレプシーと照らし合わせて「彼は持病の発作で眠っていて、逃げることはおろか事故
にさえ気づかないまま死んでしまった」ととらえた方が自然であることは言うまでもない。総
合して考えてみても一見訳がわからない、こじつけもいいところなトンデモ仮説ではあるが、
事故現場の状況をもう少しだけ鮮明に描写すると、とたんにこの無謀な説に真実味が増してし
まう。
ひとつ。消防に通報を入れた携帯端末は、搬送されたどの人間のものでもなかったが、間違い
なく事故現場から発信されていたことが確認されたこと。更にその通報を入れた端末だが、彼
が契約していた端末情報と一致していたとのこと。現在その端末と連絡が取れないことも、爆
発の影響で破損しているためと説明付けることができる。
ひとつ。救助された44名は例外なく意識がなかったこと。無論避難してから意識を失った可能
性も否定できないが、それなら何故誰も彼を救出できなかったのかという疑問が残る。つまり
彼を救出できなかったのは、全員既に意識を失っており、逆に彼に救出されていたからではな
いか、ということだ。
更に全員が意識を失っていたということは、この44人の内誰かが彼の携帯を借りて通報を入れ
るということも不可能であるということになる。
しかしこの仮説が本当だったとしても、最後にひとつだけ謎が残る。

――何故彼は全ての乗客乗員を救出したのに、わざわざ危険を冒してまでバスに戻ったのか。

ただ単純に「まだ人が残っているかもしれないと思ったのだろう」と言えばそれで片付けられ
る些細な疑問ではあるが、最後のひとりを救出する時にはもう誰も残っていないことは確認で
きるはずである。それなのに何故彼はバスに戻ったのだろうか。
……いや、「バスに戻った」というのは正確な表現ではない。この焼死体はバスの内部ではな
く、バスから少しだけ離れたところで発見されたのである。爆発で吹き飛ばされたという見解
の方がよっぽど現実的だが、客観的に見ても主観的に見てもそうは思えない。
総合的に判断するに、きっと彼はバスに乗っていた友人たちではなく、それ以外の誰かを探し
ていたのではないだろうかという結論に達する。
しかし全ては推測の域を出ないのが現状だ。44名の意識が戻り精神的にも落ち着いた頃、改め
て事情聴取されるのを待つしかない。
真相は今のところ、闇の中である。





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【mine side】

世界に呼び出される感触。嫌な手触りを思い出しながら、僕はグラウンドに手をつき、起き上
がった。
目の前には、四番愛用のバットと茶色くくすんだボール。そしていつか駆け抜けたようなダイ
ヤモンドがあった。
そこになんの感慨もない。ただ何か義務感のようなものを自分に植え付け、バットとボールを
掴み取った。
チャンスは一球。この一球であの空の向こう側まで吹き飛ばすようなホームランを打たなけれ
ば、きっと僕に明日はない。
どこに打っても誰も捕球してくれないノック。それは相手がいないキャッチボールと同義で、
つまり僕は救いようがない独り言を延々と垂れ流すことしかできない。なればこそ、僕はこの
一球に僕の全てを賭ける。



  ――慣れ親しんだグラウンドの土のにおい。


息を整える深呼吸。


  ――風に運ばれやってくる川の水のにおい。


軽くトス。


  ――眩く照りつける太陽の光。


スウィングは大げさなアッパー。


  ――青く澄んだ晴れ渡る空。



でもそれぐらいが今の僕には丁度いい。



カキィーン!




絵に描いたような快音が鳴り響くグラウンド。


ボールが地に落ちるその瞬間まで、僕は願わずにはいられない。





「――世界の外まで届いてくれ」







     *     *     *



今僕の目から流れているそれを、僕は確信を持って涙であると定義づけることができない。そ
の理由さえ明確にはならないが、ひとつだけ間違いのない事実があるとするなら、それは僕か
世界のどちらかが、まるで事務仕事でもこなすかのように淡々と、偽者の存在に取って代わら
れてしまったということだ。
或いはそれは単なる幻想でしかなく、僕も世界もそのままで、僕の主観だけが丸ごと入れ替え
られたのかも知れない。
だからだろうか。この廃れてしまった、優しすぎる世界の行く末を、僕は心の片隅で案じてい
た。僕は生きる屍。世界はフィクションのリアル。どんな悲しい事実も、世界は虚像を用いて
有耶無耶にしようとしてくれる。それなら僕は好意に甘え、そのまま一番大切なものと一生添
い遂げ、それと同じ定めである「死に続ける」未来を選ぶしかない。そこにはきっと、世界の
意思も自分の意志も、第三者の意志も関係ないのだろう。


全ては僕にしかわからない。だから僕は口を噤んだ。



――最後に僕の目に映ったそれは、確かに人の形をしていた――

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