Never lasting lie
独りよがりな日記とKey系創作小説メインでゆっくりしたいあなたへ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「Relief -終止符-」
Another / シリアス [ 11542 byte ]
アニメ12話相当のネタバレを含みます。


Anotherはアニメ版のみ視聴しまして、原作小説、コミカライズ版は未読です。
そんな筆者ですが、最終話の一幕がどうしても納得できず、こうして書き起こしてみました。
とある少女に追悼の意を表し、このSSの前文とさせていただきます。


.
====================================================================================



※注意
この作品にはアニメ「Another」に関するネタバレが含まれています。
アニメを見ていない方が誤って閲覧してしまった場合でも
当方は一切の責任を追わないものとしますので
閲覧に関しては十分に気をつけて下さい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





 身体が焼けるように熱くて、僕は一瞬遠のいた意識を取り戻す。炎はもう目前まで迫っ
ているのだろうか。目を開けて確認すれば良いだけのことだが、目を開けることすら億劫
に感じる。
「――きばらくん! さかきばらくん!」
 誰かに身体を揺るられているようだ。声からして見崎だろう。
「目を開けて! 榊原くん!」
 どうやら見崎は無事らしい。よかった。でもそんなにグイグイ動かされると、余計に身
体が痛む。更に周りは焼けるような熱さだ。こんな灼熱の地獄のような場所に、いつまで
も見崎がいるのはまずい。僕は気力を振り絞り、目を開ける。
「……見崎は……無事だったの……」
 見れば右腕が赤く染まっている。さっきまでこんな傷はなかった。小さな破片が飛んだ
のだろう。
「そんなことより、榊原くんが……」
 俯せになっているから身体を見渡すことはできないけど、察するところ僕の身体には無
数のガラス片が刺さっているらしい。さっきから身体に熱く感じているのは、炎ではなく
無数の創傷だったのだ。
「僕は……もう……いいんだ……。それより……赤沢さんは……?」
 見崎はしばらく言葉を失い、目を伏せた。それが何よりの答えだ。見崎はいつもそうや
って、大事なことほど言葉にしない。でもこんな状況だ。僕でなくとも見崎の沈黙の意味
は推しはかれることだろう。僕は見崎を庇い、代わりに夥多のガラス片をこの身に受けた。
なら赤沢さんは――
「ここに……いるわ……」
 声は案外近く、顔を向けることはできないが、すぐ隣にいるのだろう。普段の勝ち気な
性格からは想像もできないほど弱々しい返答だった。
「結局私は……恒一くんを、守ることも……現象を止めることも、できなかった……」
「そんなこと……ないよ」
 首にもガラスが刺さっているのか、動かそうとすると激痛が走る。それをなんとか赤沢
さんの方へ向けようとしてみたけど、どんなに力を入れてみてもどうにもならなかった。
「僕の、ために……動いて、くれたん……だよね……。ありが、とう……」
 顔を合わせることもできず、まともに喋ることもできないまま、僕は赤沢さんに礼を言
う。赤沢さんはどんな顔をしているんだろう。見崎は涙で顔をくしゃくしゃにして、それ
でも僕の名前を呼び続けてくれる。
「見崎……。こんな、ところで……ぐずぐずしてたら、ダメ、だろ……。早く……もうひ
とりを……」
「嫌! 嫌! 榊原くんが! 榊原くんが死んじゃ――」
「見崎!」
「……ッ!」
 痛みをおして叫んだ。見崎ははっとして、僕と目を合わせる。
「この現象を……災厄を……止めることが、できるのは……見崎、だけ、なんだ……。お
前が……行かなくて……どうする……」
「でも! でも!」
「私からも……お願いするわ……。見崎さんが……何を、知っているのかは……知らない
けど……あなたしか……災厄を、止められない……と、いうのなら――」
 取り乱す見崎に、赤沢さんが声を掛ける。今まで見崎に対して放っていたものとは明ら
かに違う、優しい声色だった。
「対策、係として……あなたに……任せるわ……。お願い、見崎、さん……。この、災厄
を……止めて……」
 最後の言葉は、沈痛な祈りのような響きをもって聞こえた。
 毎年この現象で、多くの人間が犠牲になってきた。その中には彼女たちの担任の先生が
いて、クラスメイトや親友がいて、そして家族がいる。現象を止める意味、それは現象に
よって同じように大切な人たちと死別させられた彼女なら、わかってくれるはずだ。
 見崎は悄然としている。どうすれば見崎を動かすことができるのか考え倦ねていると、
彼女は徐ろに、僕たち二人を見据えて立ち上がる。涙と煤で汚れた顔を拭おうともせず。
「そう……そうね……。私が、絶対に止めてみせる。もう誰にも、いなくなってほしく、
ないから」
 言葉の終わりと同時に、近くで燻っていた木片が爆炎と共に吹き飛んだ。ここは直に崩
れるだろう。
「さあ……早く、行って……。手遅れに、なる、前に……」
 見崎は頷き、顔を上げた。そのまま振り返ることもなく、どこかへと走り去ってゆく。
彼女が見えなくなるまでは見届けないといけない気がしたが、前に進んでいく後ろ姿はあ
っという間に視界から消えた。
「行ったか……」
 気張っていた力を抜いて、僕は目を閉じた。僕のやるべき事は終わった。あまりに悲惨
な惨劇もきっと止まるだろう。
「そう、ね……」
 赤沢さんも大分辛そうにしているのが声でわかる。二人とも満身創痍で、とてもではな
いがここから脱出することはできそうにない。
「僕たち……ここで、終わるのか……」
「でも……死者として、蘇りたくは……ないわね……」
「ははっ……全くだね……」
 現象によって3年3組に現れるもうひとりは、前年以前に現象によって殺された生徒が
蘇ることでなるらしい。現象によってその生を終わらせられてもまだ、現象によって勝手
に蘇らされ、現象にいいように使われるなんて、本当にろくでもない人生だ。
「ねえ……恒一くん……」
「なに……?」
 赤沢さんは唐突に、まるで告白でもするかのようにもったいつけながら僕に話しかけて
きた。
「1年、半前……あなたに、空缶……ぶつけたの……覚えてる……?」
 1年半前。僕はその時東京にいた。果たして赤沢さんに会う機会などあっただろうか。
もし赤沢さんに出会っていたのなら、病院で会った時に少なからず思い出すはずだ。
「…………」
『ゲンキ! ゲンキダシテネ! ドウシテ! ドウシテ! レーチャン!』
『1年半ぐらい前かねぇ。ペットショップでね――』
『どんな感じだ、1年半ぶりの夜見山は――』
『人が死ぬと葬式だな。葬式はもう堪忍。堪忍してほしいな』
『可哀想にな、理津子も。怜子もな』
「…………」
 思い出した。1年半前。僕の母親代わりのような存在だった怜子さんが死んだ時期。現
実が受け入れられなくて、河原で泣いていたあの日。
「ははっ……そうか……思い、出したよ……」

 振り返った時、謝りながら慌てて河原を降りてくる女生徒が見えた。でも彼女は間もな
く足を縺れさせ、盛大に転倒した。僕の目の前まで転がり落ちてきて、流石に大丈夫じゃ
なさそうだと心配になる。手を差し伸べると、女生徒は顔を上げた。目が合う。僕と同じ、
真っ赤に充血した目をしていた。涙に濡れているのに綺麗な顔だと、失礼ながら思う。手
を差し出したまましばらく――もしくは一瞬だけだったかも知れない――時間が止まった
かのように見つめ合っていた僕たち二人だったが、先に動き始めたのは彼女だった。僕の
差し出した手を握り、それを合図にするかのように僕たち二人は同時に立ち上がった。そ
れでも目線だけは、ずっと彼女の目から離れない。そんな中二人、手を離す。
「あなた……夜見北の人じゃないよね」
「うん、東京から来たんだ」
「そう……」
 みるみるうちに目に涙を溜める彼女を見て、僕は放っておけず、声を掛けた。
「どこか……痛いの?」
 彼女は首を振る。
「違うの……。大事な人が、死んじゃったから……」
「そうなんだ……。じゃあ……」
 彼女もまた、愛する人を亡くしたのだろう。気持ちはわかる。僕も――
「僕と、同じだね……」

「あの時の子……赤沢さん、だったんだね……」
 あの時はろくに自己紹介もせずに別れたのだ。それに、怜子さん――。思い出すにも思
い出せない事情があった。でも今更、弁明はしない。
「そうよ……全く、遅いんだから……」
 こんな手遅れになってから思い出しても、仕方がないじゃない。彼女の言葉には、そん
な響きが込められているように感じた。
「でも……」
 それでも、僕はふらふらする頭で思う。
「最期に、思い出せて……よかったよ……」
「え……」
 もう限界が来たのだろうか。目を閉じているのに瞼が重いし、意識が遠くに引っ張られ
ていくようだ。身体の痛みもほとんど引いてきて、信じられないくらい身体が軽い。
「これで……悔いなく……逝ける、かな……って……」
 急激に四肢の力が抜け、目の前が白っぽく塗りつぶされていく。身体の全ての感覚が消
え、まるで身体を手放したような気分になる。ふわりと浮かんでいるようで、まるで重力
を感じない。そしてまるで唐突に部屋の扉を閉められたかのように、不明瞭だった意識を
手放した。



     *



 さっきまで荒かった恒一くんの呼吸音が少しずつ弱々しくなった。
「これで……悔いなく……逝ける、かな……って……」
 最期の言葉は尻切れ蜻蛉みたいに掠れ、よく聞こえなかったけど、何が言いたかったの
かくらいは察せられる。言い切ることなくぐったりした彼の身体を見て、8月の犠牲者が
ひとり増えたことを、まるで他人事のように悟った。
 最後の最後までクラスのみんなの――見崎さんのために命を懸けた彼の、その大きな背
中を見る。大きなガラス片だけでなく、数多の小さなガラス片が散見しているのがわかる。
激痛に顔を顰めることなく見崎さんを説得し、事態収拾に向かわせた彼。そこのは自分の
命が助かることなんて、きっと眼中になかったのだろう。彼は常に頑張っていたのに、最
期はこんな終わり方だ。辛かったのかな。苦しかったのかな。わからないけど、私は彼を
守ることも、傷を癒すこともできなかった。悔しいと素直に思う。今まで私が対策係とし
てやってきたことが、最終的にこんな結末を招くなんて。彼一人を守ることさえできなか
ったなんて。なんで、こんなに上手くいかないんだろう。こんなに守ろうとしてたのに。
こんなに頑張ったのに。どうして。なんで……。
「全く……やんなっちゃう」
 思えば多佳子が死んだ時から、私はおかしくなっていたんだと思う。見崎さんを命がけ
で守ろうとする彼を見て、「一緒に殺してあげる」なんて言い放った。あんなに守りたか
った彼を、どうして殺そうとしたんだろう。わからない。もしかしたらこれも災厄のせい
かもしれない。でも、そうじゃないかも知れない。私は、あの時何がしたかったんだろう。
わからない。でも――。
 彼の背中を見る。力尽きたその大きな背中に、今は亡き友人の姿に、もう届きはしない
のに、口は勝手に言葉を紡ぐ。
「女の子……ひとり、おいて……自分だけ……先に、行っちゃう……なんて……」
 何が「悔いなく逝ける」よ。ホントバカみたい。
 それだけ言って、私は耐えきれず瞑目した。なんだかとっても眠たかった。この眠気に
身を任せてしまえば、辛かったことも、苦しかったことも、全部忘れられる気がした。



     *



 ドンと大きな音がして、私は何かに突き飛ばされた。痛みより何より突然の衝撃に驚い
てしまって、身体が上手く制御できない。私はそのまま俯せに倒れた。
「……ったた……」
 若干涙目になってしまっている。私は弱いところを人に見せるわけにはいかない。涙を
拭い、後ろを振り向く。そこで私と同じように倒れていたのは、あろうことか恒一くんだ
った。彼がこんな子供染みた悪戯をするだろうか。恒一くんの更にその後ろには、二人の
人影。見上げてみれば、私を指さしてころころ笑っている彩と、心配そうに見つめる由美
の姿があった。
「…………」
「…………」
 二人が何を言っているのか、何故か聞き取ることができない。そんなに遠い距離でもな
いのに。
「……あ、大丈夫? 赤沢さん」
 少し遅れて、恒一くんが私を気遣うような声を上げた。恒一くんの声は、間違いなく鮮
明に聞こえる。
「大丈夫よ。どうせ彩に突き飛ばされたんでしょ?」
「ははっ、そうみたいだね」
 やられた本人はへらへら笑いながら「全く、綾野さんには困ったものだね」なんて言う
だけで、彩に怒るようなことはしない。恒一くんだから当然だろう。彩もこうなることを
わかって仕掛けているに違いない。後で問い詰めてやろう。
「立てる?」
 先に立ち上がった恒一くんが、私に手を差し伸べてくれる。まるでいつかの河原の再現
のようだ。あの時はもっと鬱ぎ込んでいたのだけど、今は違う。私は恒一くんの目をじっ
と見て、無言で手を取った。そのまま二人、同時に立ち上がる。私は手を離そうと思った
のだけど、恒一くんが私の手を離さなかった。
「じゃ、行こっか」
「え? 何処へ?」
「決まってるじゃないか」
 そういって、恒一くんは彩たちの方を向いた。そこにはさっきまでいなかった二人の姿
が見える。多佳子がいて、そして――
「お兄……」
 見間違いようがない。お兄だ。でもなんでお兄がここに? 目で訴えかけてみるが、お
兄は微笑むだけで何も教えてくれない。それならばと恒一くんの方を見る。恒一くんも笑
って「ね?」と言うだけで、どうやら教えてくれる気はないようだった。
 死んだはずのお兄。彩や由美や多佳子、そして恒一くん。みんなが笑顔で、まるで私を
出迎えてくれているみたいだ。それなら、何も聞く必要はないと思う。
「ねえ恒一くん。レディーファーストって言葉、知ってる?」
「……もちろんでございますよ、姫」
 恒一くんは一瞬ぽかんとしたが、私の軽口にもちゃんと笑顔で応じてくれた。さっきよ
りもしっかりと手を握り、恭しく礼をする。その姿に堪らなく吹き出した私を見て、恒一
くんは「ちょ、酷いなぁ」と頭を掻いた。
「ちょっとちょっとー! 夫婦漫才もいいけど、あたしたちのことも忘れないでよねー!」
「そうだよ。せっかくこうやってみんな揃ったんだし」
「泉美、早くしないと置いてくわよ」
 みんなの呼び声が聞こえる。もう行かなくちゃね。
「わかってるわよ! さあ恒一くん、私たちも行きましょ」
「だね」
 お互いにしっかり手を取り合い、歩き出す。わからないことは多いけど、みんながいて、
みんなで笑い合えるなら、それでいいと思う。それよりもまず、お兄に会って、何を話そ
うかな。私の頭は、それだけを考えていた。






















赤沢さんマジ天使。
赤沢さんが可愛すぎて生きるのが辛い。でも赤沢さんは死んだ。オーマイゴット。神は我々を見放した。生きるのが辛い。死のう。
こうして恒一くんは死んだ。嘘です。

当初から無双っぷりが尋常ではなく、全然まったくフェアじゃなかったので、12話視聴直後からこの方「何とかして恒一くんを死に還そう」と画策しておりました。
でも彼は泉美のお気に入り。命だけは助けてやろう。そう思って踏み出せずにいたのですが、アニメをリピートしている内にあることに気付きました。
これは死んだ面子の方がいろいろと楽しそうだ、と。
主要陣営(対策係とか演劇部とか)が全滅したこの世界で、どうして主人公がぬくぬくと生きられよう。いや、死ぬべきだ。死後の世界で寄り添ってやれよ!

・・・で。
赤沢さん親衛隊分隊の「赤沢さんを救い隊」の方々はどうしても赤沢さん生存ルートを所望するようですが、実は筆者はあまりそうも思いません。
確かに赤沢さんには生きていてほしい。でもよく考えてほしいのは、赤沢さんは風見くんを(ほぼ)殺した、ということ。
あの時赤沢さんには、結構明確な殺意があった。彼に「生きててもしょうがない」とまで言い放った。
そんな赤沢さんがずっと生き存えるとして、その行いを悔いない日はないと思います。
罪を背負っていき続けるよりは、あそこで(美しかったのかどうかは個人的に少々疑問が残りますが)華麗に磔にされてその生を終えた方が、彼女は言葉通り「楽になれた」と思います。
でもその消えない罪を背負って辛く苦しい人生を歩んでいく姿も見たくないかと問われれば当然見たいので、誰か恒一くんに支えられながら己のした行いを受け止めつつ何とか前向きに生きていこうと奮闘する赤沢さんSS書いてください。全力で読みに行きます。

最後に。
赤沢さんは天使だ。異論はある程度まで認める。ただし、いないものの相手はよせ! やばいんだよ、それ!
FC2 Blog Ranking
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
管理人の承認後に表示されます
2012/05/06(日) 02:40:24) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。